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トウシューズと足の痛みの関係について(シャンクを曲げる位置、リボンの結び方)

発表会前に足が痛くなってしまったRさんに、

トウシューズを持ってきてもらいました。

 

 

前回のblogはこちらです。

 

発表会前に足が痛くなった20代のバレエダンサー(距骨後突起部痛、リスフラン関節痛)(色々な足 77)

https://www.ikejimasekkotsuin.jp/column/4553/

 

 

Rさんのトウシューズの写真をご紹介する前に、

トウシューズと足の痛みの関係について簡単に書いていきたいと思います。

 

 

トウシューズで立つときは、「足関節足部最大底屈する」と表現されています。

 

足関節足部可動域は、

足関節足部構成する個人の骨の形や靱帯の柔軟性によって個人差があります。

 

足関節足部可動域が大きい人(柔らかい足)は、

過底屈し過ぎることによって、足関節足部に負担がかかり、足のトラブルが多くなります。

また、荷重が前方に乗り過ぎてしまうため、

前に乗り過ぎないように筋力で適切にコントロールすることが重要になります。

 

足関節足部可動域が少ない人(硬い足)は、

トウシューズで立つための理想的な可動域が出せず足関節足部に負担がかかり、足のトラブルが多くなります。

また、甲を出そうとして足裏側の筋肉をぎゅっと縮めて使うことが足のトラブルの原因にもなります

 

足関節足部可動域が少ない人(硬い足)は、各関節の可動域訓練と、

足関節足部可動域が少ない人(硬い足)足関節足部可動域が大きい人(柔らかい足)どちらのタイプの足の人も、

足周囲伸筋群屈筋群を適切にコントロールするための筋力を強化することが重要です。

 

 

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足関節底屈角度が足りないとトウシューズでうまく立てません

 

バレエダンサーは、脛骨距骨の軸の角度(脛距角)が165度くらい必要だそうです。

脛距角150度くらいだと、足の甲がきれいに出ないと言われています。(小川正三著:ダンサーズヘルスケアブック)

 

 

足関節底屈可動域制限する距骨後突起形状三角骨については、

こちらのblogに詳しく書いてありますので、参考にしてください。

 

(41)「有痛性三角骨」
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/22844126.html

 

 

足部底屈は、

距骨(黄色の矢印部分)、舟状骨楔状骨第2,3中足骨第1~3足指をつなぐ

各関節(ショパール関節、リスフラン関節、MP関節少しずつアーチを描くように行われます

 

②「クラッシックバレエにおけるトウシューズの機能分析と足の障害予防についての試み」田中宏和、整形外科Vol 54.No 2.2003-2

 

足関節足部最大底屈してトウシューズで立った時の荷重軸は、

脛骨距骨(黄色の矢印部分)、舟状骨楔状骨第2,3中足骨第1~3足指です。

 

★田中は、トウシューズで立った時、

荷重は、前方の骨性部分と、後方の靴底に分けられて伝わり、

重心線よりも足が前に出るほど骨性部分に伝わる力が少なく靴底に伝わる力が大きくなる

甲が前方へ出て重心線足関節後方を通る方が骨にかかる負担が減少すると述べています。

 

③「クラッシックバレエにおけるトウシューズの機能分析と足の障害予防についての試み」田中宏和、整形外科Vol 54.No 2.2003-2

 

★田中は、トウシューズで立った時、

ショパール関節からの前傾重要であると述べています。

 

ショパール関節底屈が悪いと、足全体過底屈することになり、

トウシューズのソール(シャンク)リスフラン関節曲がるため、

荷重が前方に乗りずらい、と述べています。

 

また、バレエが未熟なダンサーは、トウシューズで立った時、

足指曲がることによって足関節底屈を制限していると指摘しています。

 

 

田中は、

ショパール関節可動域訓練

前傾を保持する筋力強化

また、ショパール関節部でのソール(シャンク)の慣らし

ショパール関節前傾しやすい位置でのゴムベルトリボンのつけ方

重要であると述べています。

また、足指がよく伸び床を押すには、トウパッド重要性も指摘しています。

 

トウシューズの各部の呼び方は、こちらのサイトを参考にしてください。

http://www15.plala.or.jp/miagolare/pointe_erabi.html

 

 

また、平石らも、

バレエが未熟なダンサートウシューズで立った時に、

足指曲がり足関節底屈を制限していること、

サイズが小さいトウシューズだと足の指曲がりやすいと報告しています。

 

更に、トウシューズのソール(シャンク)リスフラン関節曲がることによる、

第2中足骨の疲労骨折リスフラン関節の変形性関節症との関連を指摘しています。

(「トウシューズと女性クラシックバレエダンサーの足部・足関節の障害」平石英一ら、永寿病院紀要、2007.23-28)

 

 

さてさて、やっと本題に入ります。

 

 

ポアントを履くには十分な底屈角度が出ないバレエ愛好者が、

トウシューズのシャンクを自分でカットする話を聞きます。

 

当院でも、カットした部分ショパール関節ではなく、リスフラン関節部分になってしまって、

中足骨の痛みがいつまでも取れない症例を何例か経験しています。

 

トウシューズのシャンクをカットする場合は、

基本的に4分の3の部分と言われています。

解剖学的には、ショパール関節の部分なのです。

 

 

Rさんは、4歳からバレエをやっているのに、20代になって初めて足の痛みが出たのは、

トウシューズシャンクをカットしたことが原因の可能性が考えられましたので、

トウシューズを見せてもらいました。

 

 

④4足のトウシューズを持ってきてくれました。

 

⑤この2足が発表会前に履いていたトウシューズです。

左側のトウシューズシャンクをカットしてあり、

右側のトウシューズはシャンクをカットしていませんが、

使い込んでいるためシャンクがかなり柔らかくなっています。

 

⑥右側が、発表会後に新しく買ったトウシューズです。

シャンクをカットして、リボンの付け根をゴムにしています。

サイズと幅もワンサイズ大きくしました。

 

⑦⑧⑨足にマーキングをしてトウシューズを履いてもらいました。

 

マーキングしたのは、リスフラン関節ショパール関節と、踵骨の載距突起部です。

 

シャンクをカットした部分が、ショパール関節のラインに合っているかどうかを、

アテールポアントで立った状態チェックしていきます。

シャンクをカットした2足を、チェックしました。

 

シャンクのカットしたラインと、ショパール関節のラインは、ちょうどよい場所で合っていました。

 

Rさんが発表会前に履いていた、シャンクをカットしたトウシューズは、

サイズが小さかったため足指がうまく使えなかったそうです。

もう一つの使い込んだトウシューズの方は、

シャンクリスフラン関節部分から動きやすくなっていました。

 

Rさんの足が痛くなってしまった原因は、

発表会前に練習量が増えたこと(週1回しかレッスンに行けないので、週1回のみ長時間のレッスンになってしまう)、

1足のトウシューズのサイズが小さく足指がうまく使えなかった

もう1足のトウシューズのシャンクがリスフラン関節から曲がっているため、

社会人になって足の筋力が強くなくなったRさんの足には、負担がかかってしまった、などが考えられました。

 

 

マーキングした足とシャンクの位置を確認した後で、リボンの結び方を伝授しました。

 

★リボンの結び方のポイント 1

 

足の内側のリボンは、上に引っ張る

足の外側のリボンは、内側に引っ張る

 

その理由は、足の甲真ん中よりもやや内側が一番高いことと、

の形が、内側上に立っていて、外側やや内側に倒れているので、

その形状に合わせるためです。

とくに過回内足過回外足の方には、足部を理想的な位置へ誘導しますので効果的です。

この結び方は、リボンにゴムがついていると、より効果が高くなります。

 

★リボンの結び方のポイント 2

 

足首にリボンを回すとき、

内側のリボンを少し強めに引っ張ると、下腿部の下側外旋方向に引っ張られます。

外側のリボンを少し強めに引っ張ると、下腿部の下側内旋方向に引っ張られます。

下腿部の下側外旋または内旋すると、親指乗りやすくなり足が安定します。

どちらの方向に引っ張るかは、その方の足のタイプによって違います。

約5~6割の人は、内旋方向(つまり外側のリボン)を少し強めに引っ張った方が、親指乗りやすくなり足が安定します。

約3~4割の人は、外旋方向(つまり内側のリボン)を少し強めに引っ張った方が、親指乗り過ぎずに足が安定します。

あとの1~2割の人は、度々、誘導方向が変わる場合があります。

 

どちらに誘導した方が良いかは、足や歩行評価でわかりますが、

自分で内旋方向が足が安定するのか

外旋方向が足が安定するのか、試してみてください。

 

この結び方は、リボンにゴムがついていると、より効果が高くなります。

 

4足、このリボンの結び方を試してみました。

 

自分の足のタイプに合わせた結び方ができると、とても立ちやすくなるんですよ~!!

 

是非、やってみてください!!

 

 

 

私は、バレエのケガに関することや、足底板に関すことを25年くらい勉強しています。

 

バレエに限らず足部の解剖学や運動学、痛みに関する治療には多少の自信があります。

 

靴に関しての勉強は、10年くらいでしょうか・・・

 

しかし・・・

 

トウシューズに関しては、論文をいくつか読んだくらいで、

専門的に勉強したとは言えない状況なので、ずっとスルーしてきました^^;

 

でも、臨床で「足に合わないトウシューズを履いていたこと」や

「トウシューズのシャンクをカットした部分が足に合っていなかった」など、

トウシューズが原因の症例に時々遭遇します。

 

最近は、学術論文が無い分野でも、

ネットやYouTubeで検索できるので、情報が得やすくなりました。

 

特にこのサイトは、治療家としてとても参考になりました。

 

トウシューズの選び方1

http://www15.plala.or.jp/miagolare/pointe_erabi.html

トウシューズの選び方2

http://www15.plala.or.jp/miagolare/pointe_erabi2.html

トウシューズの選び方3

http://www15.plala.or.jp/miagolare/pointe_erabi3.html

トウシューズの選び方4

http://www15.plala.or.jp/miagolare/pointe_erabi4.html

画期的(?)ぴったりトウシューズ早わかり表

http://www15.plala.or.jp/miagolare/hayawakari.html

トウシューズ加工法

http://www15.plala.or.jp/miagolare/kakoh.html

 

YouTubeで検索をすると、

プロダンサーバレエ指導者が配信しているトウシューズに関する動画がたくさんあります。

 

これらの動画も治療家としてとても参考になりました。

バレエを勉強している治療家や、これからトウシューズを履く方、トウシューズ選びに悩んでいる方は、

是非、参考にしてほしいです。

 

(スマホの方は、URLをクリックしてください)

☆トウシューズの選び方

 

https://youtu.be/Q-fRSeIVjXE

 

https://youtu.be/zxo3lOurdlA

 

https://youtu.be/teLbtPglPes

 

https://youtu.be/16cYZY5SaXI

 

https://youtu.be/TvAtxq4h9bw

 

 

☆トウシューズのほぐし方

 

https://youtu.be/9-gmZ1zva5Y

 

YouTubeで検索すると、

プロダンサーバレエ指導者が配信しているトウシューズに関する動画がたくさんあります。

 

トウシューズの選び方やほぐし方、またシャンクのカットの仕方、トウパッドのことなど、情報はいくらでもあります。

 

ダンサーが色々な動画を参考にすることは良いことなのですが・・・

 

足の骨格や筋力には個人差がありますので、その情報は自分の足に合っているかどうか?という見極めが重要です。

 

★もしも足が痛くなってしまった場合

バレエの先生またはバレエに詳しい治療家に、早めに相談してほしいと思います。

 

私は、そんなバレエダンサーのお役に立てるように、これからも勉強していきたいと考えています。

 

 

 

 

いけちゃん

 

 

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