今回の特集は、肩関節内旋制限のエクササイズです。
肩関節の内旋制限は、色々な状態がありますが、
当院で多いパターンは以下の3つです。
1:ケガや四十肩などの回復期で痛みを伴っている場合
2:痛みもなく肩甲骨や胸椎の柔軟性はあるのだけれど、長時間のデスクワークなどで姿勢が悪くなり「巻き肩」になっている場合
3:痛みはないが肩甲骨や胸椎の可動域が悪く「巻き肩」になっている場合
★「巻き肩」とは、肩が前方に丸くなっている状態です。(2013年、ダンスの解剖・運動学大辞典)
「巻き肩」の原因と対策には色々なエクササイズがありますが、基本的なコンセプトは以下の通りです。
①肩甲骨の過度な外転位を伴う場合 →
肩甲骨を内転させる筋群(僧帽筋・菱形筋など)の強化、
肩甲骨を外転させる筋群(小胸筋・前鋸筋など)のストレッチ
②上腕骨の内旋を伴う場合 →
上腕骨を外旋させる筋群(棘下筋・小円筋など)の強化、
上腕骨を内旋させる筋群(大胸筋・広背筋・肩甲下筋・大円筋など)のストレッチ
③その他:円背を伴う場合 →
上背部の筋力強化、胸椎伸展の可動域訓練
では、具体的な方法の一部をご紹介します。
ステップ 1:肩関節に痛みがある場合
モデルさんは、チアダンスををしている40代のMさんです。
Mさんは、2カ月前にケガをして、肩関節の運動痛と拘縮が残っていました。
3週間後に、チアダンスの舞台があるため、当院の運動指導にみえました。
①肩関節の外旋制限が少し残っています。
②肩関節の内旋痛が強く、内旋が全くできませんでした。
③④⑤チアダンスでは、これらのポーズをするのですが、
肩関節の内旋ができないため、
左手を腰に当てることができませんでした。
Mさんは、肩関節の内旋時に強い痛みがありましたので、
施術後に肩の使い方を指導しました。
https://www.youtube.com/watch?v=KGlkQB8heG8
(スマホの方は、URLをクリックしてください)
上半身の動的ストレッチを、左肩に痛みを感じない範囲で動かしてもらいました。
★両手を遠くに引っ張りながら、ゆっくり動かしていきます。
★肘を曲げる動作では、両肘を遠くに引っ張りながらゆっくり動かしていきます。
★肩関節を動かす時は、手や肘を遠くに引っ張りながら動かすことで、
肩関節や周囲の組織を圧迫せずに動かすことができます。
★肩関節に痛みがなくても、肩関節を動かすと「グリッ」「グキッ」などと音がする人は、
関節に空間を作るように遠くに引っ張りながら動かしてみてください。
★肩関節に痛みがある人、肩関節を動かすと音がする人は、
肩を動かす時に、指先や肘を遠く引っ張りながら動かしていきます。
つまり、指や手・前腕部・上腕部・肩甲帯をつなぐ屈筋群・伸筋群・回旋筋群などを同時収縮させることで、
関節に空間を作り、関節を圧迫し過ぎずに、肩関節を動かすことができるのです。
★これは、バレエで股関節を動かす時に、
足先や足・下腿部・大腿部・股関節周囲筋群をつなぐ屈筋群・伸筋群・回旋筋群などを同時収縮させることで、
関節に空間を作り、関節を圧迫し過ぎずに、股関節を動かすことができるのと同じです。
⑥⑦外旋は痛みなくできるようになりましたが、
内旋は僅かに改善されたのみでした。
⑧⑨⑩チアダンスのポーズは、なんとかできるようになりました。
3週間で、肩関節の拘縮を完全に回復させることは難しいですが、
痛みのない範囲で肩関節の使い方に気を付けながら、レッスンをしてほしいです。
ステップ 2:肩関節内旋のストレッチ
モデルさんは、30歳のバレエ愛好者、Sさんです。
⑪Sさんは、肩甲骨や胸椎の柔軟性は比較的ありますが、
長時間のデスクワークで右肩の内旋制限と巻き肩がありました。
⑫⑬流し台などに両手をついて、肘を後ろにして、
ゆっくり腰を下ろしていきます。
⑭⑮
★この時、両手の付け根で台を押し、
両肘を後ろに引っ張って胸を開きながら、
ゆっくり腰を下ろします。
★両手の付け根で台を押して、両肘を後ろに引っ張って胸を開くと、
脇が使えて、肩甲骨を下げて、首を長く使えるようになります。
つまり、指や手・前腕部・上腕部・肩甲帯をつなぐ屈筋群・伸筋群・回旋筋群などを同時収縮させることで、
関節に空間を作り、関節を圧迫し過ぎずに、肩関節周囲のストレッチができるのです。
★これは、股関節のストレッチをする時に、
足先や足・下腿部・大腿部・股関節周囲筋群をつなぐ屈筋群・伸筋群・回旋筋群などを同時収縮させることで、
関節に空間を作り、関節を圧迫し過ぎずに、股関節周囲のストレッチができるのと同じです。
★ストレッチは、脱力して筋肉や関節を伸ばすだけではなく、
正しい姿勢やポジションのセッティングをするために、
適度で適切な筋肉を使うことが重要なのです。
▲ 特に手関節・肘関節・肩関節に関節弛緩がある方は、
必ず両手で台を押す、両肘を遠くに引っ張る動作をやってください!!
⑯⑰次に、肩関節を外転してストレッチをします。
⑱
★この時、両手の付け根で台を押し、
両肘を横に引っ張って胸を開きながら、
ゆっくり腰を下ろします。
★両手の付け根で台を押して、両肘を横に引っ張って胸を開くと、
脇が使えて、肩甲骨を下げて、首を長く使えるようになります。
つまり、指や手・前腕部・上腕部・肩甲帯をつなぐ屈筋群・伸筋群・回旋筋群などを同時収縮させることで、
関節に空間を作り、関節を圧迫し過ぎずに、肩関節周囲のストレッチができるのです。
★これは、股関節のストレッチをする時に、
足先や足・下腿部・大腿部・股関節周囲筋群をつなぐ屈筋群・伸筋群・回旋筋群などを同時収縮させることで、
関節に空間を作り、関節を圧迫し過ぎずに、股関節周囲のストレッチができるのと同じです。
★ストレッチは、脱力して筋肉や関節を伸ばすだけではなく、
正しい姿勢やポジションのセッティングをするために、
適度で適切な筋肉を使うことが重要なのです。
▲ 特に手関節・肘関節・肩関節に関節弛緩がある方は、
必ず両手で台を押す、両肘を遠くに引っ張る動作をやってください!!
⑲Sさんの肩関節の左右差は、だいぶ改善されました。
毎日、このストレッチをやってくださいね。
番外編:肩甲骨や胸椎が硬い方
⑳㉑㉒柔術道場のSさんは、肩甲骨と胸椎が硬いので、
肘を横に引っ張ることがうまく出来ませんでした。
その場合は、事前にこちらのエクササイズを必ずやってください ↓
https://www.ikejimasekkotsuin.jp/column/515/
㉓㉔特に、これらのエクササイズで
胸椎の伸展可動域訓練をしっかりやってください。
㉕㉖㉗これ、私なんですが・・・
両肩関節を何度もケガをしたり五十肩もやっていますが、
毎日このストレッチをして内旋制限や可動域の左右差が改善されたんですよ。
皆さんも、是非やってみてくださいね~!!
続編のこちらのblogも参考にしてください!!
↓
(13)肩関節の内旋制限・巻き肩の改善エクササイズ 2 (腕立て伏せのポイントもついでに書きました!)
https://www.ikejimasekkotsuin.jp/column/667/
いけちゃん
いけちゃんのblog 1 目次
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/46271926.html
いけちゃんのblog 2 目次