当院の運動指導にみえているスポーツ、ダンス・バレエ愛好者で、
腰椎分離症や腰椎すべり症の方がいらっしゃいます。
分離症になって腰痛に苦しんでいる人、
あるいは分離症があっても痛みがなくなった人、
すべり症になって腰痛や下肢の痛みやしびれで苦しんでいる人、
あるいはすべり症があっても腰痛や下肢の痛みやしびれがなくなった人、
症状は、年齢や病気の進行度合い、身体的条件や状態によって様々です。
今回は、分離症をテーマに書いていこうと思います。
まず、「結論・まとめ」を先に書いてしまいます。
★腰椎分離症は成長期に起こる疲労骨折です。
骨折ですから、安静と固定で治ります。
ただし、超初期、初期、進行期のうちに疲労骨折と診断され、
適切な治療をしないと、治らない可能性もあります。
適切な治療とは、安静と固定、更に適切な運動療法です。
終末期になってしまうと、
分離した骨が偽関節になってしまいますので、分離症そのものは治りません。
★疲労骨折や分離症は、痛みがある場合と、痛みがない場合があります。
痛みがある場合は、医療機関を受診すると思うのですが、
痛みがない場合は、医療機関を受診しない方がほとんどです。
終末期に入ってしまった、痛みがない分離症やすべり症は、
基本的に医療機関を受診しないことに問題はありません。
★しかし、成長期の超初期、初期、進行期の分離症は、
必ず専門の医療機関で検査を受け、適切な治療をする必要があります。
★その理由は、
疲労骨折を治すことができる時期を逃してしまうからです。
★成長期(特に小学生)が「腰が痛い」と2回訴えたら、
是非、専門の医療機関(整形外科)を受診してください。
すでに終末期に入ってしまった腰椎分離症や、腰椎すべり症になってしまった
スポーツ、ダンス・バレエ愛好者の方が、当院の運動指導に何人も何人も見えています。
★終末期に入る前に、疲労骨折や分離症をみつけて、
適切な治療を受けることは、とても重要なことなのです。
ですから・・・
★成長期(特に小学生)が「腰が痛い」と2回訴えたら、
是非、専門の医療機関(整形外科)を受診してください。
★当院の運動指導では、スポーツ、ダンス・バレエ愛好者の
分離症になる前、
分離症になってしまった場合は、
骨癒合が確認されてからのアスレティックリハビリテ―ション、段階的にスポーツ活動に復帰する時期に合わせて、
分離症の再発予防のため、
更に終末期の分離症は疼痛管理を含めて、
筋力強化や柔軟性の回復、正しい身体の使い方などを中心に指導しております。
分離症についてもっと専門的に知りたい方は、以下をお読みください。
(なるべく、わかりやすく書いたつもりです。
ついついマニアックに暴走しそうになり、
それを止めるために中途半端な内容になってしまう・・・
いつものパターンですが、ご了承くださいませ。)
★腰椎分離症とは、腰椎椎弓の関節突起間部に起こる疲労骨折で、
青少年のスポーツ選手に多発すると報告されています。
★日本国内での腰椎分離症の発生率は、
一般成人で約6%(男性8%、女性4%)、スポーツ選手では15~30%と報告されています。
★分離症の症状は、腰痛で、腰椎の伸展(腰を反らせる)、回旋の動きで疼痛、分離部の圧痛など。
しかし、「痛みがない」分離症もあります。
▲「痛みがない」分離症でも、年齢や分離症の進行程度によって注意が必要な場合があります。
★分離症の病期は、超初期及び初期、進行期、終末期に分けられます。
★超初期では、MRI検査で関節突起間部や椎弓根部に骨髄浮腫や炎症性変化を認めるもの、
初期では、CT検査で亀裂(疲労骨折)を認めるもの。
症状は、腰椎の伸展(腰を反らせる)、回旋の動きで疼痛がある。
腰痛は軽度で、スポーツ活動中の疼痛のみ。
日常生活では支障がなく、安静によって軽快するもの。
★進行期では、明瞭な亀裂を伴うが、分離部の骨硬化は認められないもの。
スポーツ活動及び日常生活でも腰痛があり、安静によっても軽快しない腰痛となることも多い。
★終末期では、分離部周辺の骨硬化がみられる(偽関節像)。
分離部から椎間関節に広がる滑膜炎、変性椎間板による椎間板性疼痛、椎体終板炎などによる痛み。
成人期以降の分離すべり症に進行したケースでは、腰痛、下肢痛、しびれなどを伴うこともあります。
しかし、終末期分離症の中には、滑膜炎が軽快すれば、腰痛がないケースも多くみられます。
★骨年齢の成熟度は、C-stage、A-stage、E-stageに分けられます。
★C-stage(cartilaginous stage)は、第3腰椎の椎体隅角に二次骨化核が出現する前の時期で、
暦年齢では4~12歳にあたります。
★A-stage(apophyseal stage)は、二次骨化核が出現し始めた時期で、暦年齢では10~17歳にあたります。
★E-stage(epiphyseal stage)は、隅角が完成し、成熟した腰椎となる。
個人差がありますが、およそ14歳以上で成熟した腰椎となります。
★骨成熟度から分離症をみていくと、
▲小学生がC-stage、中学生がA-stage、高校生がE-stageと考えるとわかりやすいのですが、
発育には個人差があります!!
発育の早い女子は13~14歳で成熟した腰椎となる場合もありますので、注意が必要です!!
★C-stageの分離症では、約80%が5㎜以上のすべりを呈し、
A-stageでは、約10%がすべりの発生または悪化、
E-stageでは、すべりの発生や悪化がないことが報告されています。
★つまり、C-stageの分離症では、適切な治療をしないと、
すべり症になる可能性が高いのです。
★保存療法(硬性装具療法、スポーツ休止)を行った場合に期待できる病期別の骨癒合率は、
超初期で100%、初期で93.8%、進行期で80%と報告されています。
終末期は、偽関節になっているため保存療法では骨癒合する見込みはほぼないのです。
これらのことから考えると
★成長期(特に小学生)が「腰が痛い」と2回訴えたら、
是非、専門の医療機関(整形外科)を受診してください。
もちろん、中学生、高校生、大学生にも、超初期及び初期、進行期の分離症がありますので、油断は禁物です。
★終末期に入る前に、疲労骨折や分離症をみつけて、
適切な治療を受けることは、とても重要なことなのです。
★当院の運動指導では、スポーツ、ダンス・バレエ愛好者の
分離症になる前、
分離症になってしまった場合は、
骨癒合が確認されてからのアスレティックリハビリテ―ション、段階的にスポーツ活動に復帰する時期に合わせて、
分離症の再発予防のため、
更に終末期の分離症は疼痛管理を含めて、
筋力強化や柔軟性の回復、正しい身体の使い方などを中心に指導しております。
適切な治療(主に運動療法)については、次回に続きます。
参考文献:臨床スポーツ医学Vol.36、2019,10
★分離の痛み(山下一太)
★腰椎分離症におけるすべりのメカニズム(眞鍋裕昭)
★病期に応じたゴール設定(杉浦史郎他)
★骨癒合を目的とした装具療法と運動療法(畠山健次)
★終末期分離症の疼痛管理と装具療法・運動療法(岩城光一他)
いけちゃん
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