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偏平足と有痛性外脛骨 1 (子どもの偏平足)

今回は「偏平足と有痛性外脛骨」に関する特集です。

少しマニアックな内容ですので、一般の方は★の部分だけ読んで、あとは読み飛ばしてもわかるように書くつもりですので、気軽に読んで下さい。(★重要個所

★外脛骨は、足の舟状骨の内側に存在する過剰骨(副骨)で、10~20%の人にあると報告されています。足関節の距骨後突起に存在する三角骨と同様に、その存在自体は病的ではありませんが、痛みを伴う場合は「有痛性外脛骨障害」として治療の対象になります。

★有痛性外脛骨障害は、以下の4型のタイプがあります。

型:扁平足を合併していて、歩行や走行の際に足に過回内が起こり、外脛骨が後脛骨筋腱に引っ張られて起こる外脛骨部の痛み。

型:外脛骨部の膨隆部が靴やボールに当たって起こる炎症性の滑液包炎。

型:外傷によって、外脛骨と舟状骨の間の線維性軟骨結合が損傷されて起こる骨軟骨炎。

型:足関節の外側不安定性を合併している場合、内がえし損傷によって外脛骨が脛骨内果と衝突を繰り返す痛み。

★Ⅰ型が最も多く、10~13歳頃に発症し、骨の成長が完成する15~16歳頃まで持続することがあります。
 Ⅱ型~Ⅳ型は、骨の成長が完成した年齢でも起こり、保存治療で痛みが取れない場合は手術治療の対象となる場合もあります。

 

①偏平足を合併している外脛骨

②後ろから見ると過回内(踵部外反変形)があることがわかります。

③左足の外脛骨(Veitch分類type2)

さて、まずは「有痛性外脛骨障害」と関係のある「扁平足」について書いていきたいと思います。

「小児外反扁平足」は、荷重時に足部の内側縦アーチの未形成、踵部外反変形、前足部外転変形したものを言います。

★赤ちゃんや歩き始めの子どもは、ほとんどが扁平足なのですが、少しずつ足のアーチが形成されていきます。

武田らは、1歳~6歳(平均3.6歳)の保育園児511人(男児266人、女児245人)の969足の立位X線撮影を行った結果、距骨第1中足骨角、距骨踵骨角が年齢と共に減少し、踵骨水平面角が増大したと報告しています。また、2年間の経過観察が可能であった96足についてみると、各測定項目でアーチの低いものほど、改善傾向が強かったと報告しています(2002)。

★このように子どもの扁平足は、成長と共に足のアーチが出現して自然に矯正されることも多く、特に治療が必要ないとの報告も多いのです。

山本らは、埼玉県立小児医療センター整形外科を受診した(1984年~2002年)、小児外反扁平足782例のうち基礎疾患(運動発達遅延、Down症候群、骨形成不全症、Marfan症候群など)のない症例が73例であったと報告しています。

その中で2年以上経過観察した45例(男児30例、女児15例)に対し、生活指導や靴指導のみの「未治療群」30例(男児18例、女児12例)と、装具療法を行った「装具群」15例(男児11例、女児4例)を比較した結果、「未治療群」でも70%の症例はアーチが形成され、アーチ出現年齢は平均4歳1か月(2歳2か月~6歳8か月)であったと報告しています。

また、アーチ形成「有り群」と「無し群」との歩行開始年齢は有意差を認めず、「有り群」での歩行開始年齢とアーチ出現年齢についても有意な相関は認められなかったと報告しています(2006)。

山本らは、足のアーチの出現が遅れていたり、重度の関節弛緩性や筋緊張低下のある症例では、装具療法の効果が期待できると言っています。

また、歩行開始後にどのように足底筋群の発達が促されたかが足のアーチ形成に重要であるとも言っています。

★これらは、子どもの足部安定のための靴選びや、足底筋群強化のための遊びを通した運動の重要性を示しています。

また足部安定や足底筋群を使えるようにするための足底板療法などの有効性も示しています。

しかし、山本らの報告からは、「未治療群」で30%、「装具群」で33.3%が足のアーチ形成が確認されていません。このことは、靴選びや運動や足底板療法をしても、外反扁平足が残っていく子どもたちがいることを示しています。

劉らは、大阪医科大学整形外科を受診した(1988年~2005年)、小児外反扁平足28例(男児14例26足、女児14例27足)、年齢1歳7か月~8歳5か月に、装具療法と運動療法を指導し、経過観察(1年~11年)を行ったと報告しています。

「Rose test」(Great toe extension test)は、立位で母趾を他動的に背屈させ、足アーチの拳上・下腿の外旋が認められるかどうかを調べるテストで、母趾の屈伸軸と距骨下関節の軸に関係すると考えられています。

劉らが、このRose testを行った結果、治療前にRose testに反応を「認めなかった群」(29足)は、治療前にRose testに反応を「認めた群」(12足)に比べて、距骨第1中足骨角が有意に大きかったと報告しています。

治療前にRose testに反応を「認めた群」(12足)は、正面距骨踵骨角、側面距骨踵骨角、距骨第1中足骨角に有意な改善を認め、治療前にRose testに反応を「認めなかった群」(29足)のうち14足は治療開始後平均13.9か月(平均3歳8か月)で反応を認め、正面距踵角、側面距踵角、距骨第1中足骨角にも改善が見られたが、最終調査時にもRose testに反応を認めなかった例(5足)は、正面距踵角、側面距踵角、距骨第1中足骨角に有意な改善を認められなかったと報告しています(2009)。

★つまり、小児外反扁平足は、思春期外反扁平足へ移行していく症例もあるということを示しています。

★静的な足アーチの支持は、骨の構造と靭帯によってなされていると考えられていますので、扁平足が装具療法(足底板療法)や運動療法によっても改善しない症例もあります。

では、装具療法(足底板療法)や運動療法が無意味なのか??

いえいえ、そんなことはありません!!

★動的な足アーチの支持では、装具療法(足底板療法)や運動療法は、足部を安定させ、足底筋群を有効に使うために必要不可欠なものなのです!!

ある扁平足の小学生の母親が、「この子には、何か足を鍛えるスポーツをやらせた方がよいと整形外科の先生から言われて、バレエを習わせたんです」と言っていました。

お母さんも扁平足で、外反母趾がひどくなり手術をしましたが、経過が良くなかったので、お嬢さんにはそんな思いをさせたくなかったそうです。

子どもさんにバレエを習わせる目的はそれぞれだと思います。

足を強化させるためだったり、姿勢をよくするためだったり、好きなダンスの基本を習わせるためだったり。

幼稚園や小学校低学年の間は、楽しみながら身体を作っていく。小学校高学年になると、偏平足が原因で時には足が痛くなることがあったとしても、頑張って続けてみる。

成長期には、そのような身体作りがとても重要なのです。それによって、身体がしっかりとしてきます。それはバレエだけでなく、サッカーでも野球でも同じです。

実は、プロダンサーの中にも偏平足の方がいるのです。ですから、偏平足だからと言って、諦めることはありません。

たとえプロにならないとしても、子どもの頃から足も含めて身体を鍛えていると、大人になって必ず「子どもの時に○○をやっていて良かった!!」と思うことがあります。

私は、そんな子どもたちを、心から応援しています。

 

参考文献:

スポーツ外傷学Ⅳ下肢「過剰骨障害、2.外脛骨障害」福岡重雄著
日本足の外科学会雑誌(2002~2009)

 

★ 2012年3月~2019年10月まで、院長日記として「 いけちゃんのblog 」を書いてきました。この度、ホームページをリニューアルしましたので、今後は新しいHPに「 いけちゃんのblog 2 」として書いていきますので、引き続き宜しくお願いいたします。

「 いけちゃんのblog 」は、そのまま残りますので、トレーニングやエクササイズ、テーピングなど参考にしてください。

 

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