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40・50歳代バレエ愛好者のからだの自覚症状 1 (足指痛、股関節痛)

前回のブログで、バレエによる傷害は、下肢とくに足関節・足部に多いということを書きました。

ところが、バレエ経験や年齢が増加することによって、膝関節や腰部の傷害が増加すると報告されています(森田 1992)。

▶池島接骨院でのバレエ愛好者の受診者も、各年代で足関節・足部は多いのですが、20歳を超えると膝関節や腰部の傷害が増加する傾向にありました。(▶重要個所

成人バレエ愛好者(平均年齢38.6歳)のバレエによる傷害は、下肢の慢性疼痛が多く、練習回数が週3回以上になると傷害が増加すると報告されています(鵜沢ら 2003)。

私が研究した「40・50歳代女性バレエ愛好者の障害予防に関する研究」をもとにして、40・50歳代のバレエ愛好者の実態、バレエの練習回数・練習時間・練習内容と身体の自覚症状との関係について書いていきたいと思います。

2008年8月~9月に関東近県でバレエをしている40・50歳代の女性210名(プロと指導者は除く)にアンケート調査をしました。回収147名、有効回答135名、平均年齢は48.2歳でした。

バレエの経験年数が6年未満と6年以上、バレエの練習回数が月4回以下と月5回以上、1回あたりの練習時間が90分未満と90分以上、トウシューズを履いている人と履いていない人がそれぞれ半分ずつでした。

▶アンケートで身体の自覚症状(主に痛み)の頻度を質問したところ、なんと1位が肩こり、2位が腰痛でした。次に多かったのが膝関節痛、股関節痛と続き、最後が足関節痛、足指の関節痛でした。

バレエと関係ない肩こりがなぜ??と思うかもしれません。

実は、女性に多い自覚症状の1位が肩こりなのです(厚生労働省)。また腰痛・関節痛も45歳以上になると急激に多くなると報告されています。

40・50歳代のバレエ愛好者が、腰痛、膝関節痛、股関節痛を訴えても、バレエと関係があるのかないのか、はっきりわからないことも多いのです。

そこで、これらの自覚症状とバレエの練習回数や練習時間、練習内容との関係を検討してみました。

 

≪ バレエの練習時間と、足指の関節痛について ≫

一般的なバレエ教室の1回の練習時間は90分くらいが目安ですが、この研究の対象者である40・50歳代のバレエ愛好者は、90分未満と90分以上が半分ずつでした。バレエの練習時間と、身体の自覚症状を検討してみました。

▶バレエの1回の練習時間が90分以上の人は、90分未満の人に比べて有意に足指の関節痛が多い結果となりました(p<0.01)。

足指の関節痛は、練習回数と関係なく、練習時間が長い人に症状が多かったのです。

しかし、足指の関節痛の頻度は「まれに」が多く、症状の頻度は低い結果でしたので、特に問題ないとも考えられます。

▶バレエによる傷害は、バレエテクニックや筋力、骨格の個人差などによって違いがあります。私は、ただ単に90分以上の練習時間が悪いと考えるよりも、適切なトレーニングや正しい身体の使い方をすることで、90分以上の練習時間でも傷害を予防できる可能性が高いと考えています。

 

≪ トウシューズの使用時間と、股関節痛・足指の関節痛について ≫

この研究の対象者である40・50歳代のバレエ愛好者は、トウシューズを履いていない人と履いている人が半分ずつでした。トウシューズを履いている人を、1回の練習時間内の使用時間を30分未満と30分以上に分け、トウシューズを履いていない人と、身体の自覚症状との関係を検討してみました。

▶トウシューズを「30分未満」「30分以上」履いている人は、「履いていない」人に比べて、有意に足指の関節痛が多い結果となりました(p<0.01)。

▶また、トウシューズを「30分以上」履いている人は、「履いていない」人に比べて、有意に股関節痛が多い結果となりました(p<0.05)。

しかし、足指の関節痛や股関節痛の頻度は「まれに」が多く、症状の頻度は低い結果でしたので、特に問題ないとも考えられます。

▶トウシューズによる傷害は、トウシューズの選び方やバレエテクニック、筋力、骨格の個人差などによって違いがあります。私は、ただ単にトウシューズの使用が悪いと考えるよりも、適切なトウシューズを選び、適切なトレーニングや正しい身体の使い方をすることで、トウシューズによる傷害を予防できる可能性も高いと考えています。

 

≪ 股関節痛について ≫

股関節痛には少し問題があります。足指の関節痛のある人は22%でした。頻度はほとんどの人が「まれに」か「ときどき」でした。
ところが股関節痛のある人は43.7%もいました。「まれに」「ときどき」の人が37.8%で、「ほとんどいつも」「いつも」の人が5.9%いました。

▶バレエではターンアウト(股関節を外旋)して使います。股関節の外旋可動域には個人差があります。個人の可動域を超えて無理にターンアウトすると、足や膝を捻じってしまうことになり色々な傷害が出ることが多いのです。

また、腰椎や骨盤と股関節との関係も重要で、無理なターンアウトをすることによって、股関節や腰部の傷害が出ることがあります。

鼠径部(股関節の前)の痛みを訴える人は、関節内の痛みではなく、大腿直筋の痛みであることが多いのです。大腿四頭筋である大腿直筋を使いすぎることで、うまくターンアウトができず腰部・股関節・膝部・足部の傷害につながっていることも多いのです。

バレエでは、筋力強化や正しい身体の使い方が重要なのですが・・・40歳以上の方には、別の問題も内包しています。

日本では着物を着ていた習慣から、昔からおむつやおんぶひもなど股関節や膝関節をまっすぐに当てる習慣がありました。
日本で先天性股関節脱臼が多い理由として、それらの生活習慣が原因だということがわかり、おむつの当て方などを改善し股関節を外転屈曲、膝関節も屈曲して行うようになりました。

そのおむつの当て方が一般に普及されたのが、1970年(昭和45年)頃で、その結果、赤ちゃんの脱臼が3%から0.1~0.2%に減少したと報告されています。

1970年(昭和45年)以前に生まれた40歳代後半の方は、脱臼がないとしても股関節の形成不全を伴っている場合が多いのです。

股関節の形成不全があると、変形性股関節症などが進行しやすいのです。

もちろん、個人差があります。40歳以上でも股関節の形成不全や変形がない人もいます。人の顔がそれぞれ違うように、骨や関節の形はそれぞれに違います。関節の可動範囲にも個人差があるのです。

そんなわけで、現在40歳以上の方は、股関節を構成する骨の形そのものが原因で、変形性股関節症になりやすかったり、バレエで無理な使い方をすることによって、股関節痛が増加することも考えられます。

適切なトレーニングや正しい身体の使い方をすることで、股関節の痛みを回避することが可能な場合もありますが、股関節の形態そのものに問題があり変形性股関節症が進行している40歳以上の方は、股関節の痛みを回避することが難しい場合もあるのです。

池島接骨院では、バレエ愛好者がケガをしないようにバレエを楽しめるようになること、ケガをしてしまった場合の治療(手技療法、テーピング、足底板)や、リハビリとしてのトレーニングやエクササイズ、正しい身体の使い方などの指導に、熱心に取り組んでいます。

 

※この報告は、私が2009年に大学院で研究した「女性バレエ愛好者40・50歳代の障害予防に関する研究」を、ブログ用に書いたものです。

★ 2012年3月~2019年10月まで、院長日記として「 いけちゃんのblog 」を書いてきました。この度、ホームページをリニューアルしましたので、今後は新しいHPに「 いけちゃんのblog  2 」として書いていきますので、引き続き宜しくお願いいたします。

「 いけちゃんのblog 」は、そのまま残りますので、トレーニングやエクササイズ、テーピングなど参考にしてください。

 

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