今回は、日本におけるバレエ愛好者の現状と、18歳以下のバレエ愛好者と傷害(外傷と障害)について書きたいと思います。
内容が硬い話なので、なるべくわかりやすく書きます。
興味のないことは読み飛ばしてもわかるように書くつもりですので、どうぞ気軽に読み始めてください。(▶重要個所)
バレエ愛好者というと、子どもの習い事として認識している方が多いと思いますが、最近では成人や中高年もバレエをしている方が多いのです。
総務省の報告では、2006年の日本国内でのバレエを含む洋舞愛好者は198万8千人で、1996年から2006年の10年間に0.3%増加しています(社会生活基本調査)。
また、同時期の東京23区内にある「バレエ教室」を電話帳で調べたところ、「バレエ教室」は10年間に21.8%増加していました。
これらのことからバレエ愛好者が増加している可能性が考えられます。
笹川スポーツ財団の報告では、1年間によく行った運動・スポーツに「バレエ」と回答した女性は、4~12歳約7%、10~12歳3.7%、13~15歳1%、16~18歳1.4%、20歳以上0.1%となっています(子どものスポーツライフデータ2010、青少年のスポーツライフデータ2010、スポーツライフデータ2008)。
つまり、バレエ愛好者は、幼稚園と小学生に最も多く、また18歳以下が占める割合が高いのです。
バレエを練習することによって、ケガをしてしまうことがあります。
▶蘆田の報告では、バレエによる傷害の対象者を、年齢や目的や志向によって分類するべきであるとしています(蘆田2004)。
①骨の未成熟な小学生以下と、週2回程度の練習量の中学生を含めた「一般群」
②小学生高学年から中学生で、週4,5回の練習量の「コンクール群」
③中学・高校から20代、またはバレエの指導者の「プロ・プロ予備群」
(こちらのグループは、週4~6日の練習をしていることが多いです)
④学生や成人、主婦や中高年で、週1~4回の練習量の「バレエ愛好者群」
バレエによる傷害の報告は、「プロ・プロ予備群」が多く、その他では「コンクール群」が散見していますが、子どもの「一般群」と学生や成人の「バレエ愛好者群」の報告は少ないのが現状です。
そこで池島接骨院では、バレエの学習人口が多いのに報告の少ない子どもの「一般群」や学生や成人の「バレエ愛好者群」にも色々な提言をしていきたいと考えています。
★ 1996年から2009年までの14年間に池島接骨院を受診したバレエをしている女性は、387名でした。
①10歳未満 17%
②10歳代 52%
③20歳代 9%
④30歳代 10%
⑤40歳代 10%
⑥50歳代 2%
▶池島接骨院を受診したバレエをしている女性は、10歳代、10歳未満、30歳代と40歳代の順でした。
バレエ外来などの病院の報告では、10歳代の次に多いのが20歳代ですので、地域医療の一端を担う接骨院では、10歳未満や30歳以上の受診者も多いことがわかります。
池島接骨院でのバレエをしている女性受診者の約70%を占める18歳以下について、書いていきたいと思います。
★ 18歳以下の女性バレエ愛好者受診者は、261名でした。
① 4歳~6歳 4%
② 7歳~9歳 22%
③ 10歳~12歳 39%
④ 13歳~15歳 21%
⑤ 16歳~18歳 14%
▶18歳以下の女性バレエ愛好者の受診者は、10歳~12歳、7歳~9歳、13歳~15歳の順でした。
★ 7~18歳の女性バレエ愛好者の傷害部位は、778症例でした。
①足関節・足部 38%
②膝・下腿部 25%
③股関節・大腿部 8%
④腰・背部 12%
一番多い足関節・足部の症例を、原因別に「バレエによる受傷」と「バレエ以外による受傷」に分けて、年齢別で検討してみました。
「バレエによる受傷」は、16~18歳が、7~9歳と10~12歳に比べて有意に多い結果となりました(p<0.01)。
「バレエ以外による受傷」は、10~12歳が、13~15歳と16~18歳に比べて有意に多い結果となりました(p<0.05)。
▶つまり、16~18歳はバレエによる傷害が多く、10~12歳は体育や日常生活や外遊びなどのバレエ以外の原因で受傷することが多いということです。
▶バレエ外来などでは、バレエによる受診者は10代後半にピークがあると報告しています。池島接骨院でも同様の結果となりました。
▶バレエによる受診者が10代後半に多い理由として、舞台回数の増加、練習回数や練習時間の増加、練習内容が高度になるためと考えられます。
≪ 最近の傾向 ≫
▶昭和音楽大学バレエ研究所の最新の報告によると、2011年と2016年の比較では全国のバレエ学習人口は40万人から35.8万人に減少、全国の教室数は4530件から4640件に増加、人口構成の変化に対応して小学1~4年は微減、20・30歳代は減少、50~70歳代はかなり増加しています(昭和音楽大学バレエ研究所「日本のバレエ教育環境の実態調査『バレエ教育に関する全国調査』基本報告)。
池島接骨院でのバレエ愛好者の年齢別患者層も、この報告と同様に変化しています。
ただし、バレエの傷害(外傷と障害)内容に関しては、それほど変化はないと感じます。
池島接骨院では、バレエ愛好者がケガをしないようにバレエを楽しめるようになること、ケガをしてしまった場合の治療(手技療法、テーピング、足底板)や、リハビリとしてのトレーニングやエクササイズ、正しい身体の使い方などの指導に、熱心に取り組んでいます。
※この報告は、私が2010年に柔道整復関係の研究会で発表したものを、ブログ用に書いたものです。
★ 2012年3月~2019年10月まで、院長日記として「 いけちゃんのblog 」を書いてきました。この度、ホームページをリニューアルしましたので、今後は新しいHPに「 いけちゃんのblog 2 」として書いていきますので、引き続き宜しくお願いいたします。
「 いけちゃんのblog 」は、そのまま残りますので、トレーニングやエクササイズ、テーピングなど参考にしてください。
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